愛の証
勝ったよ！
桜
肝転移
病室に着くと、妻はずっと泣き続けていたのだろう目を腫らしていた。その横に主治医の先生がいた。先生が診察室へ移動しましょうと言い、子供を抱いて妻と３人で診察室へ向かった。
結果としては肝臓に約３㎝の腫瘍が認められると。肝転移と見て間違いないと。
乳癌と診断された時、骨に転移していると診断された時、どちらも目の前が暗くなったが、肝転移と聞いたときのそれは今までのことが比にならないほどの恐怖だ…
電話
穏やかな日々は長く続かなかった。放射線治療が終わり、２週間を過ぎた辺りから38～39℃台の熱を頻繁に出すようになった。その旅に病院に電話をして、インフルエンザの検査をしに行くことが続いた。インフルエンザは毎回陰性。今度は腫瘍からくる熱かもしれないということで、MRIの検査も兼ねて入院することになった。
そしてMRIをやった日の夕方、妻から電話が鳴った。すすり泣く声が聴こえ『今から病院これる…
山下弘子様
トモセラピー後
２週間の放射線治療が終わり、訴えていた腰の痛みも日に日に和らいできた。短時間だが子供を抱くことも出来て、ベビーカーを押して散歩に行けるようにもなった。
産まれる前から化学療法をやっていたこともあり、母乳をあげることは出来なかった。出産後に骨転移が分かり、子供を長時間抱くことも出来なかった。何かあったらいけないと、一人で子供と一緒にお風呂に入ることも出来なかった。
だから人一倍、食事には妥…
トモセラピー
パクリタキセルを12クール終わった所で、CTで全身の検査をした。
残念ながら腰椎の骨転移の広がりが見られた。同時に腰部に痛みを訴えるようになり、放射線治療を行うことになった。トモセラピーという県内には１ヶ所にしかない最先端の放射線治療を通院で受けることになった。通常の放射線よりも副作用が少ないらしい。本人もトモセラピーのことを調べていたようで、放射線治療をするならトモセラピーが良かったと喜んで…
お彼岸
お彼岸の意味さえ知らなかった。妻を喪って、仏教のこと、日本独特の習慣など、初めてその意味を知ることが多くなった。
お彼岸は【この世とあの世が最も近くなる日】と記されていた。
目には見えないけど、あの日から今日が一番妻と近くに居れているのかな？お墓参りにも行った、仏壇にお線香もあげた、大好きだったお菓子も供えた。でも…いつもより近くに感じることなんて出来なかった。やっぱりもう２度と逢うことはで…
副作用
パクリタキセルは４クール位までは、あまり大きな副作用はなかった。５クール辺りから頭髪以外(頭髪はAC療法でほぼ抜けた)の脱毛や身体痛が出てきた。痺れはなかったが、関節痛や発熱も訴えることが多くなった。真夏だったこともあり、他にも色々な症状が出た。何か起こる度にネットで調べると、だいたいはロクな事が書いてない。妻と話し、これからは何でも【副作用のせいってことにしよう！】と決めた。そう思うことで、お…